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また小説を更新していないことに気づきました。 日常が取り戻せないのなら、今から特別なことをしよう。 日常だけど特別。 今は特別だけど、いつか日常になる。 Ｔｈｅ Ｓｅａ Ａｒｏｕｎｄ Ｕｓ． 俺は毎日精市に会いに行っている。 「いつも苦労を掛ける・・・」 精市は毎回そう言う。 「別に苦労などしておらん。俺はお前に会えることが楽しみなのだ」 「有難う」 このやり取りが日常になりつつある。 「礼など要らん。・・・あ、みんなからの見舞いの花だ」 「・・・」 返事が返ってこなかった。 精市は窓の方を見つめていた。 「・・・精市？」 「あ、ゴメン・・・何？」 「そこから何か見えるのか？」 「何にも・・・」 「じゃあ何故窓の方を」 「聴いているんだよ」 「何をだ？」 精市はすっと目を閉じ言った。 「波の音だよ」 「波・・・？」 「そう。弦一郎も耳を澄ましたら聴こえるよ」 「分かった」 俺は精市に言われたように、耳を澄ました。 そして、微かではあったが、ザザァ・・・という波の音が聴こえた。 「・・・海に行きたいな・・・」 「じゃあ行こう」 「え・・・？」 「海にだ！」 「・・・無理だよ」 「何故だ」 「俺は病院から出れない・・・」 精市は悲しそうに窓の方を見た。 「先生に頼んでくる」 そう言って俺は病室を出た。 「先生・・・」 俺は廊下を歩いていた精市の主治医に話しかけた。 「君は、幸村くんの・・・」 「はい」 「何か用かい？」 「精市に外出許可を出してください」 「・・・それは無理だよ・・・」 「どうしてです？」 「か、風邪を拗らせるからだ・・・」 風邪・・・。 「また・・・嘘ですか？」 「え？」 「何なんですか？アイツの・・・精市の本当の病名は・・・」 先生は黙り込んでいる。 「先生っ」 「・・・」 「本当のことが・・・知りたいんです・・・」 「幸村くんは・・・もう・・・」 先生の重い口が開いたかと思えば、それは衝撃的なことを言った。 「そ、それって・・・」 「悪いが治る可能性は低い・・・」 「何て病気なんですか・・・？」 「分からない」 「え・・・」 「まだ、世界でも例が少ないんだ」 先生の言っている言葉がとても冷たく響く。 「長くて・・・どれぐらい・・・」 自分が段々何を言っているのか分からなくなってきた。 「あと、３ヶ月・・・」 「さんか・・・げつ・・・？」 目の前が暗くなっていく。 「先生・・・」 「はい」 「精市に・・・外出許可を・・・」 「それは・・・」 「このまま何もしないのは嫌なんです。だから・・・」 「思い出作りがしたいと」 「・・・はい」 「分かった」 「精市っ！！外出許可が取れたぞ！」 「本当・・・？」 「ああ！！」 「そう・・・」 精市は笑っている。 「どうした」 「何か弦一郎が必死そうだなーって思って」 「精市と出掛けれるんだ必死にもなるわ」 「ふふ。じゃぁ、今から行こうか」 「大丈夫なのか？」 「うん。今日は調子がいいから」 俺達は病院の目の前にある海に行った。 夕暮れ近くだった所為か、海は赤かった。 「綺麗・・・」 「そうだな」 「いつもは波の音しか聴こえなかったから」 「これからはいつでも見れる」 横にいた精市は一瞬驚いた様な表情をしたが、またいつもの微笑みに戻った。 「そうだね」 今はこの海は特別な風景だが、これからはきっと日常になる。 日常が消えたのなら一から作ればいい。 －ｃｏｎｔｉｎｕｅ－ アトガキ 最後まで長ったらしい文章を読んでくださって有難うございました！！ 久々に長い小説を書いた気がします。 やっと海の意味が分かりましたね。 ずっと嘘吐いてたんで。 てか、この話は設定がベタですね・・・。 余命３ヶ月って・・・。 この話はシリアスと前向きな話にしたいつもりなんですが、どうでしょうか？ 以上、アトガキでした。 PR |
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